西真寺は吉野ケ里遺跡などで知られる佐賀県東部・神崎町にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

開基は天文13(1544)年、約500年の歴史を積み重ねてきた伝統を誇ります。
その系譜をたどると、初代住職は戦国大名の末裔であったと伝えられ、当時の門徒さんは武士が中心だったそうです。

今は周囲を田畑に囲まれたのびやかな風情のお寺で、たくさんの門徒さん方に愛されています。

19代目の藤戸隆元住職が継職されてから九州全域、そしてなんと関東在住の方の門徒さんも増えているそう！

「関東の門徒さんは新しく完成した永代供養塔にも予約を入れられています。
九州に縁のある方ではないのですが、当寺を気に入っていただいたようです。
福岡市内の門徒さんも多いですね。宮崎や大分など九州全域に門徒さんがいらっしゃり、お盆のご訪問は3週間くらいかかりますね」と藤戸住職。

住職に悩みを相談に来られる方も多く、遺産相続など終活のことや個人的な悩みを相談に来る方も少なくないそう。

「ご家族にも言えないことを相談に来られる人もいます。
話を聞くだけですが、それで心が楽になることも少なくないようです。
門徒の皆さん方と話しながら、私自身も様々なことを学んでいますね」と住職は優しく微笑まれます。

佐賀県の田園地帯にポツンと佇む西真寺に全国から門徒さんが集まる理由が、この笑顔の中にある気がしました。

西真寺は長崎自動車道　東背振インターチェンジを降り、国道34号線から385号線をひた走った先の田園地帯にのびやかな風情で佇んでいます。

田畑に包まれた牧歌的な風景が広がっていますが、途中には吉野ケ里遺跡公園などもあり、古代からの人々の営みが息づく土地であることを感じさせてくれます。

西真寺の駐車場の横には墓地と納骨堂が。そしてその先には歴史を感じる山門が迎えてくれました。

この山門、実は江戸時代に建てられたもので、二度にわたる火災の際も被害を免れ、今なおどっしりとした風格で佇み続けています。

この山門をくぐるときは上にご注目を！
唐狭間の欄間に美しい蓮の花と鳩の彫刻が施されています。
また柱にも龍の頭の木彫りが細緻な技で施され、江戸時代の職人の技を垣間見ることができます。

山門をくぐると手水鉢の横に石彫りのしゃちほこが。
こちらは旧本堂の屋根に置かれていたものだそうです。

本堂は平成8年の火災で焼失したあと、平成14年に新しく建て替えられたもので、荘厳な佇まいが印象的です。
欄間の彫刻の絵柄もご住職がこだわり抜き、木彫りの花とも調和した見事な作品となっています。

この美しい本堂では、ご供養の他、ご葬儀を行われる方も多いとか。

「枕経からお通夜、葬儀まですべてお寺で行い、司会進行もお任せしてもらえれば私が行っています。
予算も安価で済みますし、何より本堂でご本尊様に見守られて、心がこもった葬儀ができるということで、皆様に喜んでいただいていますね」
(藤戸住職)

そんな住職に「普段大切にしていること」について聞くと――

「“家単位”ではなく、お一人一人に寄り添うように心がけています。
門徒さんのご自宅に訪問した際も子どもたちにも気さくに話しかけられていますよ(笑)。
ご家族の結婚式に呼ばれることもあります。
お寺に敷居の高さを感じる人もいますが、当寺は“敷居の低いお寺”。そして心の距離が近いお寺を目指しています」
と柔らかなまなざしで話してくださいました。

神崎市に来た際は、伝統を守り継ぎながらも、つねに人々の心の近くにあるお寺「西真寺」を訪ねてみませんか？